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早春のお菓子たち

冬から早春にかけての和菓子に“下萌”という銘のお菓子があります。

雪の下の土から、ふきのとうなどの草が萌え出ずる様を表したもので、和菓子ならではの美しい季節感を感じます。

和菓子屋さんによって、それぞれ想像力、創作力を生かした下萌があるわけで、ある店は薯蕷生地で、ある家は棹物で、そしてきんとんで、と。

私の下萌は、薯蕷(山芋)練切で小豆あんを包み、その上に、よもぎあんを下にして真っ白な薯蕷練切を重ねて漉しだしたきんとんをふんわりのせたものです。

波・練切

また、早春ということで思い浮かぶのは、ふきのとう、菜の花、よもぎ、つくし、早わらび、木の芽など、どれもほろにがく、香りの広がるものが多いけれど、そんな早春をすくいとるように、練切のふきのとうや、きんとんの菜の花、木の芽の薯蕷まんじゅう等を作るのも、和菓子ならではの楽しみです。

先日もお茶会のお菓子の依頼があり、そんな春の香をお菓子に作ってみました。

いろいろ試作しましたが、 - あらあら、

今回のお茶会の器は舟の形をした染付の古伊万里に決まり、お菓子にとって、なかなか難しい器になりました。そこで頼んで下さった方と何度かやりとり、相談をして、早春の磯をイメージしてやさしい水色と白の波形の練切にいたしました。白波の上にすこし磯の香りの青海苔を散らし、中あんは黄味あんにしました。

そんな風にあれこれ考えたり、ご意見をうかがったりして作るお菓子は、その時、茶席でおいしさをそのまま召し上がっていただけるので、菓子の作り手としても、うれしいことです。冬から春へ、和菓子の楽しい季節のはじまりです。

金塚 晴子

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