焼印を押すコツ

ふわっと広がる山芋の香りとともに、ふっくら蒸し上がった薯蕷まんじゅう。
きめが細かく真っ白な皮のおまんじゅうは、そのままでも充分にきれいで上品な佇まい。

でも、ちょっと一手間加えて色粉で染めたり、焼印を押してみるだけで、その表情がガラッと一変するから不思議です。
同じおまんじゅうでも、色と焼印の組み合わせを変えるだけで、季節のうつろいを表現出来るところが和菓子の魅力のひとつでもあります。

早春は蕨やつくし、春なら桜、夏は水紋やとんぼ、秋にはすすきやうさぎ、冬は雪の結晶など…それぞれの季節にふさわしい模様がたくさん揃っていて、眺めているだけでも楽しいものです。
一本2千円〜6千円位で、大きさやデザインによって値段はまちまちですが、東京浅草の合羽橋道具街や京都の菓子道具店などで購入出来ます。
焼かずに練切などに押して柄を付けたり、色を付けてはんこ代わりに押してみたりと、アイディア次第で違った使い方も…。
ところがこの焼印、押し方は簡単そうに見えて、実は結構難しいのです。微妙な焼き色、模様の加減を出すにはある程度の熟練を要します。
そこで今回は焼印を押す時のちょっとしたコツをお教えいたします。
* 焼印は丸い面に押すよりも、平らな面に押すほうがきれいに押しやすいもの。
包み上がったおまんじゅうの表面をたなごころで軽く押し、後で焼印を押す部分を気持ち平らにしてから蒸す。
* 焼印は火で充分に熱したら一度塗れ布巾に押し、温度を少し下げてから使う。
* いきなり押すのではなく、おまんじゅうの底や、ちょっと不恰好なおまんじゅうを選び、何度か試し押しをしてみる。
* 初心者は比較的押しやすい、単純なデザインのものを選ぶと良いかも知れません。
最初は失敗しても、何度か試すうちにきっとコツがつかめてくるはず。
手作り和菓子をワンランクアップさせる焼印、是非トライしてみて下さいね。